スピッツアルバムレビュー②(名前をつけてやる)
前作スピッツから1年も経たない内に発売された二枚目のオリジナルアルバム。
初期スピッツ三部作の中では恐らく最も人気がある作品で、俺自身としてもこの作品は初期スピッツ、いやスピッツ全体の中でもかなり好きなアルバム。
前作で遺憾なく発揮された初期スピッツ特有の混沌とした独特な世界観を広げつつも、曲調の幅を更に広げ、その上曲ごとにメリハリがしっかりしており、歌謡曲要素を強めているので格段に聴きやすくなっているのが特徴。
勿論空の飛び方以降の圧倒的なロックポップな聴きやすさこそないけれど、初期スピッツの中ではやはり馴染みやすい作品なので初期スピッツ入門としてはこのアルバムがオススメ。(ちなみに俺は惑星のかけら→名前をつけてやる→スピッツの順番に購入した)
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1 ウサギのバイク
名曲度★★★★☆ オススメ度★★★★☆ 好み度★★☆☆☆
歌詞の独特感が変わってないこともあり、仮に前作に収録されていたら恐らくとっつきにくかったであろう曲。
曲調も草野さんの歌い方に関しても前作ほどのねちっこい感じが少し薄れてきてるのでかなり聴きやすくなってるのが分かる。
個人としては他の曲よりそこまで聞いた回数が多くないので好み度は伸び悩みがちけど、間違いなく名曲の一つ。
2 日曜日
名曲度★★☆☆☆ オススメ度★★★☆☆ 好み度★★★☆☆
イントロからワクワク感あふれる曲。
演奏時間が短いこともあり、今作の中では若干地味な印象もあるが普通にいい曲。
歌詞は相変わらずよくわからない。
3 名前をつけてやる
名曲度★★★★☆ オススメ度★★★☆☆ 好み度★★★★☆
タイトルナンバー。
少しラップ調のAメロだったり、曲の最後のラララーの部分だったりで個性が際立っているが、歌詞の内容はやはり下ネタくさい。
名前をつけてやるっていうタイトルもあって色々ヘンテコで面白い。
4 鈴虫を飼う
名曲度★★★★☆ オススメ度★★★☆☆ 好み度★★★☆☆
数少ないギターの三輪さん(髪が派手な人)作曲の歌。
アレンジもどこまで考えたのか知らないけど、あの風貌らしかぬ曲調。
5 ミーコとギター
名曲度★★★☆☆ オススメ度★★☆☆☆ 好み度★★★★★
個人的に隠れた名曲。歌詞は相変わらずインパクトあること言ってるけど意味がわかりにくい。
微妙に早い曲調とAメロ→大サビ→AメロというKingGnuのFrash!!に近い曲構成だが、そのおかげで程よくまとまってて意外と聴きやすい曲である。
6 プール
名曲度★★★★★ オススメ度★★★★☆ 好み度★★★★★
スピッツファンの間ではよく知られる隠れた名曲の一つ。
プールという言葉は歌詞に一切出てこないのに切なさと儚さを感じさせる曲調からプール感を醸し出しており、途中に入る「あぁあぁ~」の部分とかわーっとはならないにしてもじんわりくる。
「君に会えた 夏蜘蛛になった」という歌詞は、短い文節の中に色々表現できててスピッツの中でも特に傑作だと思う。
人間は両手足で4本、そして蜘蛛って脚が8本ありますからね、つまり…
7 胸に咲いた黄色い花
名曲度★★★☆☆ オススメ度★★★☆☆ 好み度★★★★☆
今作で最も地味な曲を聞かれたときに最もあげられてしまいそうなレベルで個性が薄いのは否めないけど、それを逆に捉えれば初期スピッツという事もあってとても聴きやすい曲だということ。
個人的には意外とこの曲好きなんだよなぁ。
8 待ちあわせ
名曲度★★☆☆☆ オススメ度★★☆☆☆ 好み度★★☆☆☆
ロック調が強くパンクな曲。
地味な曲ではないだろうけど、名前をつけてやるの一番好きな曲を聞かれた時は出てきにくいパターンだと思われる。
全く嫌いじゃないんだけど、意外と評価伸びないなーとつけてて思った。
9 あわ
名曲度★★★★☆ オススメ度★★☆☆☆ 好み度★★★★★
初期特有の歌詞が独特すぎるシリーズの一角。
曲調もプールの儚げさが少し入っているものの、タイプとしては同じ水と近しいものでも違うパターン
個人的にこの曲はとても好きだけど、オススメするにはある程度スピッツ聴きこんでる人かなーという感じがする。
10 恋のうた
名曲度★★★★☆ オススメ度★★★★☆ 好み度★★★★☆
【スピッツがパンクロックから転向するきっかけとなった曲。草野がアコースティックギターで作曲した初めての曲であり、これまで8ビートばかり叩いてきた崎山はドラムをどう叩けばいいかわからず悩んだという。三輪は「この曲でスピッツの方向性が決まった」と語っている(Wikipediaより引用)】
とあるように曲の知名度の地味さの割にはとても重要な曲であり、スピッツ初のわかりやすいラブソングといえるのでは?
曲名からして名曲感漂うがスピッツのなかではこれでもまだまだ上がたくさんいるので敢えての★4。
「君と出会えたことを僕 ずっと大事にしたいから 僕がこの世に生まれてきたわけにしたいから」というサビのフレーズは色々な意味で強すぎる。
余談だが地味にAメロのキーが低くて歌いにくいのでライブではキーを上げて歌唱することも。
11 魔女旅に出る
名曲度★★★★★ オススメ度★★★★☆ 好み度★★★☆☆
藤井聡太さんが大好きな事で知られる今作唯一のシングル曲だが、この曲が好きというのはさすがシブい!という感じ。
ちなみにミスチルの桜井さんもこの曲がスピッツの中でも好きらしい。
今作の中では突出してストリングスが使用されていることもあってラストにふさわしい壮大な曲となっており、ストリングス=スピッツなんて決してないのだがスピッツらしい名曲。
「やはり『チェリー』になりますか…。『ロビンソン』も有名なんですけど、個人的にはセカンドアルバム『名前をつけてやる』の『魔女旅に出る』はスピッツ屈指の名曲だと思っています」も名言の一つだと思う。
いや、チェリーも素晴らしい曲なんだけどね。
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名前をつけてやるは前作から更にバラエティ性に富んでおり、アルバム全体のまとまりもとてもいいので通しで聴きやすくなっており、スピッツ大ブームが落ち着いた現在でも愛聴盤の一つとなっています。
個人的ベスト5
1 ミーコとギター
2 プール
3 あわ
4 胸に咲いた黄色い花
5 恋のうた
それではまた次回お会いしましょう。